歴史と外交─靖国・アジア・東京裁判
靖国・慰安婦問題・韓国・台湾・原爆投下・東京裁判について
それぞれ章立てがされ、外交官だった著者の知識と考えが記された本。
元外交官としての現実的なバランス感覚が感じられるなかで、
歴史問題や現在の状態についてがわかりやすく記述されていて、
これらの問題に関する基礎知識を得ることができてよかった。
すごくいい本だと思う。
本書を読んで、改めて靖国の問題はすごくこじれて難しくなっている問題だなぁと思う。
P.253
P先の大戦にかかわる歴史認識の問題は、日本がいずれかの時点で 克服すべき課題である。しかし、そのためには、戦略と情報が必要である。 戦略とは、一番重要なのは何かを識別、選択し、他の重要なものとのあいだに 優先順位をつけて、一つひとつ時間差をつけて解決していくことである。 また、情報とは、相手の側が何を考えているかを知悉することである。 歴史認識の問題で、日本がいま必要としていることは、この問題に ついての日本内部の分裂を克服し、日本としての概ねの方向性を打ち出すことである。
P.304
もっとも肝心なことは、一人ひとりの日本人が、歴史に学び、日本にとって、 自分にとって、明治から太平洋戦争に至った日本の歴史はなんであったか、 戦後の日本の歴史はなんであったかについて、みずからの答えを出すことにあると思う。 多数の国民が、左右の思想家の論述を、自分の頭で整理し、考え、 自分の考え方を作っていく。それが、社会や国家としてのコンセンサスづくりに つながっていく。そういう動きこそ、今のわが国は、必要としているのではなかろうか。
歴史と外交─靖国・アジア・東京裁判 (講談社現代新書)
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東郷 和彦
講談社
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