TPP亡国論

TPPの論議が再開されている中で読んでみたけど、面白かった。

TPP参加のメリットってあまり無いように思う。

 

P.200

 日本の農産品を輸出しようという農業改革論者たちも、貿易戦略の本質をわかっていません。 彼らが輸出を推奨する高付加価値・高品質の農産品は、ぜいたく品であり、必需品ではありません。 他方、日本が輸入している穀物や野菜の種子は、必需性の高い材なのです。必需性の高い 農産品同士をお互いに取引するのであれば、堅固な相互依存関係が構築できるので、 食料安全保障の強化に資するかもしれません。しかし、必需性の高い材を輸入して、 必需性の低い材を輸出するような貿易関係は、一方的な海外依存でしかありません。 それでは、農業が輸出産業化したとしても、脆弱な構造は変わらないのです。

 しかも、気候変動や水資源の枯渇といったリスクがあるかぎり、そして各国が 自国民の安全保障や食糧事情を優先する限り、必需性の高い食料を海外に大きく依存することは、 その国をかなり弱い立場に追い込むに違いありません。

P.227

 TPPに参加するかしないかは、自由貿易の程度の問題であって、自由貿易鎖国かの 問題ではありません。TPPへの不参加は、この論文が礼賛する戦後の自由貿易体制を 否定するものではまったくないのです。まして、日米同盟を否定するものでもないことは、言うまでもありません。

 

TPP亡国論 (集英社新書)
TPP亡国論 (集英社新書)
posted with amazlet at 14.03.22
中野 剛志
集英社 (2011-03-17)
売り上げランキング: 33,813